CD-280
CROWN CD-280


1980年代後半〜90年代前半期において家電量販店のチラシ上、ほぼ毎週目玉商品として君臨していた国内メーカー、
「クラウン」の最廉価機種である。本機はCD-260の後継機種にあたる。

◆外観について:
別ページでご紹介しているCD-600とは打って変わって、丸みを帯びたデザインが特徴だ。
しかし、クラウンならではの黒を基調とした古めかしい野暮ったいデザインはしっかり継承しているようだ。
スクエアなデザインだった先代モデルのCD-260からエッジをできるだけ切り取り、なんとか現代風のデザインに仕立て
直そうとした、デザイナーの苦労が感じられるモデルだ。だが、元デザインがかなりカクカクしていたモデルだったので、
結局は後味の悪いなデザインとなってしまっているのが残念なところだ。

◆音質について:
肝心の音質は当初から廉価機種というか、家電量販店の目玉商品用に用意されたような機種なので値段相応と言ったところか。
しかし、3バンドのグラフィック・イコライザーが装備されているので多少は性格を変えることが可能・・・と言いたいところだが、
実装されているフルレンジのスピーカー・ユニットがプアなのでイコライザー調整してもほとんど変わらないのである。
多少マシなユニットと換装すればイコライザーの変化も生きてくるだろう。
フルノーマル時では昨今流通されているノーブランドな目玉商品価格のデフレラジカセと同じ音質である。

◆使い勝手について:
最廉価機種なので日常的な使い勝手は抜群に良い。(最初から安物なので故障の心配も考えることなく、結構乱暴に扱える)
本機にもクラウン伝統のCDプレーヤー部のサーチ機能・ランダム再生機能が省略されてます。
やっぱりBGM的に使われる方にはクラウンはお勧めできますね。
値段が手頃だからと言ってお子様のお稽古やお勉強用としてプレゼントしたりすると後でクレームが来るはずですので、
せいぜい玩具程度として贈るのが適当でしょう。もう売ってないけど。


◆細部について1:<上面ブロック>


●バランスつまみと3バンド・グラフィック・イコライザー周り。
  3バンドのグラフィック・イコライザーは100Hz/1KHz/10KHzの10dB増減といった、極めて一般的なもの。
  ヘッドホンで聴いてみるとしっかり増減していることから、やはりスピーカーがプアなのであろう。


●CD操作関係部とその周辺。
 <左画像>
  CD再生で操作できる機能は20曲のプログラム再生とリピート(1曲/全曲)のみ。ランダム再生は付いていない。
  左上のオペレーション・インジケーターはCD/カセット/チューナーそれぞれが動作している際に点灯する、いわば
  通電確認ランプのようなもの。当然、電池駆動の際はこのランプの明るさで判断することとなる。

 <右画像>
  シンプルにまとめられた、CD基本操作部とその周辺。
  奥側は左からビートキャンセラー(AM受信時)/ステレオモード(FM受信時)切替スイッチ、ヘッドホン端子、CD出力端子。
  手前はCDのボタン。両サイドにスキップ、上面に再生/一時停止、下面はストップ/クリア(プログラム時の訂正キー)のみ。
  CD再生中に両サイドどちらかのスキップボタンを長押ししてもサーチにはならず、延々とスキップが繰り返される。
  (サーチ機能が実装されていない、というか省略されている。クラウンの伝統ですね。)


●カセットデッキ操作部とチューナーその他部周辺。
 <左画像>
  一般的なガチャメカのカセット・デッキ部。録音/再生ともノーマル・テープ専用でフルオートストップ機構。
  上面中央部から、音量つまみ/ファンクションモード切替/内蔵コンデンサーマイク。

 <右画像>
  チューナー部。選局つまみは横方向ダイヤル、右上はバンド切替(TV4−12/FM・TV1−3/AM)




◆細部について2:<前面ブロック>


●スピーカー周辺。
  ペラペラの10cmフルレンジ「プア」ユニット。
  右画像の様にユニット下にはダクトが付いているがモロにダミー。
  ダクトの下を良くみると「インシュレーターもどき」が付いているが一体成型のただの飾り。余り意味はない。


●CDドアとカセットドア部。
  お決まりの「DIGITAL」ロゴが緑色とあって、ここだけクールな印象を受けるCDドア部。
  隣りのカセットドアも丸い膨らみを持つCDドアと競うかの様に独特の膨らみのある窓だ。
  どちらもスモーク調の窓ではあるが、カセット部の方がやや色が濃く、テープ残量はほとんど見えない。
  カセットドアに「DIGITAL SOUND」って記載するのはいかがなものか・・・。


●CDドアとカセットドアを開いた様子。
  CDはホルダー状になったドアに立て掛けるようにしてセットする。
  カセット・デッキは操作部の位置をCDの操作部と揃えるためか、妙に奥の方にセットされることとなる。
  (余計にテープの残量は見づらくなっているのもこの所為だ)


●12cmCDと8cmシングルCDのマウントの仕方。
 <左画像>
  ドアを開いた際の標準状態である。
  オレンジのツメが生えている格好となっているが、これが8cmシングルCDを再生するポジションである。
  ドアを閉じるとこのツメは右画像のように内部に収納されることとなるが、手前のマウンターが磁石となっており、
  モーターのスピンドルと強力にマウントされるため、再生中に脱落することはない。

 <右画像>
  オレンジのツメを内部に収納した状態である。
  この位置で12cmCDが再生できるポジションとなる。
  このツメはスプリングで浮き上がる仕組みではあるが、柔らかいスプリングなのでCDを挿入すれば勝手に
  ツメは収納される格好となるので、いちいち指で押さえる必要もない。
  たまにこのスプリングが硬い個体を見かけるが、この場合は潔く、左端のレバーを押し下げることをお勧めする。


●チューナー表示部の様子。
  至ってフツーの表示窓だ。日常使用において問題はないとも思われるが、実際、間隔が狭いために、混在した位置に
  ある地方のAM局を受信しようとなると微妙な位置合わせが必要となり、スパッと決めるには至難の業が必要だ。




◆細部について3:<背面/その他ブロック>


●背面パネル周辺とコーションプレート。
  いかにも「廉価機種で〜す」といったような、何の変哲もないフツーな背面部。
  定格消費電力は18w。ボロアパートの台所にあるチンケな蛍光灯と同等ぐらいか?
  この内容で18wは食い過ぎのような感がある。
  電灯線(AC100v)の他、乾電池駆動の場合は単2乾電池×6本(DC9v)といった具合。
  単2の乾電池なんて当時でも余り使う用途がなかったような印象ではあるがこいつではバリバリ使えるという、
  貴重な活躍場が提供されていることに拍手を送りたい。(←バカ)

  コーションプレートには相変わらず「ステレオ・ラジオ・レコーダー」と「コンパクト・ディスク・プレーヤー」は別物扱い。
  しかも、CD-600とは異なり扱う順番が逆。CD部分は「おまけ程度」ってことなのか!?
  うーん、謎すぎる・・・。



■主な特長:
<総合>
2チャンネル方式(10cmフルレンジ×2)
推定最大出力:5w前後
使用ユニットの種類:凹型布エッジ、紙コーン
重低音回路なし
3バンド・グラフィック・イコライザー(100Hz、1KHz、5KHz)
左右バランスつまみ
ヘッドホン端子
AC100v(50/60Hz)または単2乾電池6本(DC9v)

<CD部>
フロントドアローディングタイプ
8cmシングルCD再生時アダプター不要(アダプター内蔵)
サーチ機能/ランダム機能なし(クラウンの伝統?)
1曲/全曲リピート再生機能・20曲プログラム再生機能
CD-OUT端子(アナログ、ステレオミニ)


<カセット・デッキ部>
マニュアルロジック駆動ワンウェイ
フルオートストップ機構
ノーマルテープ専用
コンデンサーマイク内蔵(オートレベルコントロール搭載。半固定)

<チューナー部>
マニュアルチューニング
AM/FM(ステレオ・モノラル切替可)、TV1-3/TV4-12






戻る
戻る



inserted by FC2 system