CX-F500
COLTINA CX-F500


1990年代前半期においてスーパー最大手?のダイエーが業界に先駆けて展開したPB(自店の独自ブランド)戦略の中、
日用雑貨用品関係を担うブランドとして誕生したのがCOLTINA(コルティナ)ブランドだ。
このコルティナに限らず、その他ブランドの数々も基本的に日頃取引している仕入れ先の相手メーカーと共同開発し、
極力製造メーカーの名前は伏せたり、自店販売専用モデルとすることで流通価格のロスを抑え、比較的手頃な価格で
消費者に提供していこう・・・といった目的の自社ブランド戦略である。

今回取り上げているCDダブルラジカセ・CX-F500であるが、商品カテゴリーとしては家電製品となるので、同店でも
比較的大きめな規模の店舗にある家電コーナーのみの取り扱いであったと思われる。
家電を取り扱うスーパーがラジカセを開発する・・・というのも無理がある話なので、本機もどこかのメーカーと共同開発、
もしくは既存のモデル(場合によっては海外モデルなど)をダイエー仕向バージョンとして再開発したものと思われる。
ダイエーは以前にも、自社ブランド「BUBU」にてラジカセを販売していたこともあったようだ。
この時は比較的まだ経営が安定していたと思われる頃のクラウン製品をBUBUブランドで販売していたようではあるが、
本機は比較的まだ最近の機種(とは言っても1995年頃)であるので、1990年代に入った途端、コジマ電機でも見かけなく
なってしまったクラウンがこっそり作っていた・・・ということはちょっと考えられないのである。


◆外観について:
当館では所蔵していないが、心なしかユピテル工業製のラジカセに通じるデザインがある。
仮にクラウンが作っていたとなれば嬉しい限りではあるが、残念ながらクラウンならではの野暮ったい感じが全くないのだ。
スクエアなデザインではあるが所々丸みを帯びたデザインに仕上がっているとは思うが、一夜漬けの突貫作業で仕上げた
ような、統一感のないデザインとなってしまっているのが残念なところだ。

◆音質について:
肝心の音質は当初から廉価機種というか、家電コーナーのお買い得商品用に用意されたような機種なので値段相応と言ったところか。
しかし、プアな感じなスピーカーではあるが正直、結構良さげな音である。フラットの状態でも落ち着いて聴ける音質だ。
音質調整については高音域の絞りを調整する「TONE」の他、低音域を増減する「DYNAMIC BASS」というフェーダーが実装されている。
低音域増幅回路の名称として「DYNAMIC BASS」という名前を使うメーカーは私が知る限りでは日立製作所ぐらいしかない。
本機はもしかすると日立製作所からのOEM機種なのかもしれないが確認した訳ではないのでどうだろうか?
(日立製作所の場合は「DYNAMIC BASS」か「ダイナミックバス」のどちらかで記載するのが定番だ)
フラット時では落ち着いて聴ける音質だ、と前述したがこの低音域増幅回路をオンにした状態での音質はどうか?と言えば、
さらに安定感のある音質に仕上がっているように感じられた。しかし、廉価機種ということもあり、エンクロージャー(キャビネット)がスカスカ
といった、「ただの箱」であるので、結局はせっかくの低音も「一応は出てます」程度というのが残念であった。
お買い得品に過剰な装備を付加するのもどうか、と思うが、素性がそこそこなのでもったいないな、と感じられた。
増幅された低音域はサブ・ウーハーを使った2.1チャンネル再生ではなく、グラフィック・イコライザーの100Hzをブーストしている感じだ。

◆使い勝手について:
最廉価機種なので日常的な使い勝手は抜群に良い。しかも「中身入ってるの?」と聞きたくなる程「軽い!!」。
本機にはクラウンの伝統であり、得意なはずのCDプレーヤー部のサーチ機能が省略されてるということはなく、スキップのボタンを長押し
してればちゃんと、サーチに切り替わってくれます。ランダム再生機能はありませんがサーチは装備されているので、クラウン製かも、という
疑いはたぶん誤解になるでしょう。


◆細部について1:<上面ブロック>


●主電源スイッチと音量/低音域増減/高音域増減/ファンクション切替スイッチ周り。
  コスト削減を優先したのか、一般的なスライドスイッチ、フェーダーが実装されている。
  しかし、こういった潔さがあってこそ、廉価機ならではのプアさが活きてくる。
  フェーダーの操作感は特に引っかかり感もなく、極めてスムーズだ。


●CDドア部。
  黒樹脂の上にグリーン系スモークの透明パネルが載せられた、2段構造のCDドア。
  上面パネルにマウントされた、これまたグリーン系スモークのラインに沿ってCDドアも統一化されている。
  「32 TRACK PROGRAMMABLE COMPACT DISC PLAYER」、「CDロゴ」が表面にシルク印刷されている。
  文字のフォント具合、シルク印刷の色具合が「日立」って感じです。


●チューナー部周辺。
  選局つまみは横方向ダイヤル、奥はバンド切替(AM/FM/TV1-3)
  FMステレオ放送受信時は左上のインジケーターが点灯する。



◆細部について2:<前面ブロック>


●スピーカー周辺。
 <左画像>
  ペラペラっぽい10cmフルレンジ「プアっぽい」フルレンジ・ユニット。
  足元を良くみると「インシュレーターもどき」が付いているが一体成型のただの飾り。余り意味はない。
  ご丁寧に一番下には銀メッキが施されていたりする・・・。他の所にコストかけてくれよ。

  この画像は左スピーカー部であるが、このユニットのそばに内蔵コンデンサー・マイクが置かれているらしい。
  録音時にスピーカーの音が消えるミュート機能がもし付いてなかったら、ハウリング出まくりでしょうな。
  (画像右上のColtinaロゴの左に小っちゃく「C-MIC」と表記がある。何もこんな所に付けなくても・・・)

 <右画像>
  カセット・デッキ下にはダクトが付いているがモロにダミー。
  ダクトは左右2本出し(マフラーみたいな表現だな)。真ん中は「DIGITAL SOUND」の彫り文字。
  カセット・デッキのボタンが手前に張り出しているので、せっかくの彫り文字もほとんど見えなかったりする。


●CD操作部周辺。
  液晶表示は7セグメント2桁の赤色発光タイプといった、トラック表示のみ。漢だねっ!!
  再生中は液晶隣り右上のLEDが点灯し、一時停止時のみ点滅表示となる。真ん中はリピート再生、右下はプログラム再生。
  右のボタン類は左から順にリピート/プログラム/スキップ/再生・一時停止/停止。
  ボタンの感触はモロにエレキットの工作でお世話になるタクトスイッチの感触そのものだ。


●カセットドア部とAデッキの再生時の様子。
  左デッキが録音/再生のBデッキ、右デッキが再生専用のAデッキだ。
  Aデッキ部はオートリバース機構も付けられる設計だったのか、再生時はBデッキのワンプッシュ録音機構の様に
  2つのボタンが一緒に押される形となる。切り離す直前の2ボタンをそのままくっ付けた様な感じは手前味噌な印象だ。


●カセットドアを開いた様子。
  左画像が録音/再生のBデッキ、右画像が再生専用のAデッキ。
  どちらもワンウェイのガチャメカでノーマル・テープ専用だ。どちらも巻き戻し/早送りでもテープ終端時にボタンが上がる、
  フルオートストップ機構付きである。左画像のコルティナロゴの下にある表記のように「ハイクオリティ」なブツにはお世辞にも
  言えないような、昨今のノーブランドなデフレラジカセと何ら変わらない、チープなユニットだ。




◆細部について3:<背面/その他ブロック>


●背面パネル周辺とキャビネット側面。
  いかにも「廉価機種で〜す」といったような、何の変哲もないフツーな背面部。
  側面のこんな所にヘッドホン端子が「おまけ程度」に付いている。
  上面パネルなんかもスカスカなのに、なぜこんな所にヘッドホン端子を付けるのかと・・・。


●コーションプレートと背面の端子など。
  メーカーはダイエーとしっかり書かれている。蛆入りパンと生ゴミギョーザの国で作られた模様。
  もしかすると北の大将軍様の国で作られたかもしれないけどとりあえずKの国製ということで。
  Kの国の現地メーカー品の中には北の大将軍様の国で生産された物がKの国製として出回っていることもあるそうです。
  (特に衣料品なんかは。同じ半島だから・・・と言ってしまえばそれまでですが、生産コストが雲泥の差なんだとか。)

  定格消費電力は20w。クラウンのCD-280と同等ぐらいか?
  電灯線(AC100v)の他、乾電池駆動の場合は単1乾電池×8本(DC12v)といった具合。

  右画像は背面の端子類。
  左の端子はCD音声出力端子(アナログ、RCAピン端子)。上面はAMチューナーのビートキャンセラー。



■主な特長:
<総合>
2チャンネル方式(10cmフルレンジ×2)
推定最大出力:5w前後
使用ユニットの種類:フツーの紙コーン
重低音回路:DYNAMIC BASS(フェーダー任意可変式)
トーン・コントロール(高音域)つまみ
ヘッドホン端子
AC100v(50/60Hz)または単1乾電池8本(DC12v)

<CD部>
トップローディングタイプ
サーチ機能付き
ランダム機能なし
1曲/全曲リピート再生機能・32曲プログラム再生機能
CD-OUT端子(アナログ、RCAピン端子)


<カセット・デッキ部>
マニュアルロジック駆動ワンウェイ
フルオートストップ機構
ノーマルテープ専用
コンデンサーマイク内蔵(オートレベルコントロール搭載。半固定)

<チューナー部>
マニュアルチューニング
AM/FM(ステレオ)、TV1-3






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