CFS-DW45
SONY CFS-DW45


1970年代後半、それまでのレコードに取って変わる音楽メディアとして登場し、1980年代半ばにおいてはレコードの
生産枚数を上回るなど新たな代替メディアとなった音楽CDもソフトだけではなくハードにおいても量産効果によって
一般消費者の手の届く価格範囲内に迫ってきた中、ソニーをはじめ数多くのメーカーが投入したのがCDラジカセである。
CDラジカセの登場で今までなら高級コンポなどごく一部のマニアや富裕層のみの楽しみであったCDが一般消費者にも
楽しみの場をより身近なものにしてくれた、と言っても過言ではないだろう。

ソニーではCDラジカセを投入する際に「ドデカホーン」という通称名を付与し、当時の同社製ミニコンポ「リバティ」並みの
機能・音質を備え、ただのCD付きラジカセとも異なる出で立ちでヒット商品となった。

90年代に入り、バブルの雲行きが怪しくなるとアイワを筆頭に販売力の弱いメーカーがこぞって生産拠点を東南アジアに
移し、デフレ性の強い低価格な廉価機種を乱売するようになった。(薄利多売ですね)
海外生産品の廉価機種と言えどもそれなりの性能や個性を持っていたし、オープン価格の登場によってメーカーにとっても
生産コスト・流通コストのある程度の操作が可能となり、数年前までなら高価格になりそうな機能を装備した機種も意外な
ほど信じられない価格で買える時代となった、という恩恵もあった。

ドデカホーンを発売して約10年が経過しようとしたこの頃、ソニーでは新たなCDラジカセの楽しみ方としてパーソナルな
オーディオ・システムと銘打ってマイクロコンポスタイルの「ソナホーク」を登場させ、それまでのドデカホーンは実質上、
CFD-500/400を最後に約10年間の幕を下ろしたのである。

しかし、ソナホークシリーズが展開されている間もドデカホーンは従来の典型的なCDラジカセに付与されていた。
もちろん高級機種など存在するはずもなく、廉価グレードのCDラジカセにこっそり紛れていたのである。
型番を失念してしまったが、カラオケ対応の廉価ラジカセにドデカホーンの名前は付いていたりした。

前置きが長くなってしまったが、このページではソナホーク全盛の裏でこっそり生き残っていたドデカホーン、
CFS-DW45をご紹介する。



◆外観について:
デフレが始まりだした頃のモデルであり、かつ、超廉価クラスなので必要最低限の機能しか装備されていない。
しかしながらドデカホーンの通称名が付与されているので現在のデフカセほどチープな印象はない。
本機はドデカホーンと言えども、従来のようにCDラジカセではなく「ただのラジカセ」であるが、廉価機種ながらもそれなりに
チープに見えないような配慮のあるデザインとなっている。

◆音質について:
肝心の音質は当初から廉価機種という位置付けではあるが「一応、ドデカホーン」であるのでそれなりの設計はされて
いるようである。スピーカー・ユニットはフルレンジながらもソナホークに付いてそうな音質重視風味な物が採用され、ボックス
に至っては簡易的ながらもバスレフ構造となっている。また、音質調整についてもしかりで5バンドのグラフィック・イコライザーが
装備され、この頃の廉価ラジカセにしてはそれなりに心地良い音色を再現する。ただし、搭載されているアンプが非力かつ、
チープな回路のためか、残留ノイズが多く、ソニーというブランドに自ら傷付けているような印象で残念である。

◆使い勝手について:
最廉価機種なので日常的な使い勝手は抜群に良い。デフレ世代の機種のためか、それまでのCFSシリーズでのWデッキでは
定番の組合せであった「AMS(自動頭出し)+キュー&レビュー」のうち、AMSが省略されてしまっているが、キュー&レビューは
残されているので、ちょっとした頭出しには不都合はないだろう。AMSもキュー&レビューもいずれにせよ、ヘッドにテープを
擦らせて高速走行させているのには間違いなく、テープ寿命を縮める原因となるがバリバリ編集するような人にしてみれば、
キュー&レビューが残されているのはありがたいことである。

また、ダビング機能もそれまでのCFSシリーズ同様に、現在のCFSシリーズのような録音側をいちいち一時停止状態にする、
完全なマニュアルタイプ(ガチャメカ式の場合、業界ではこちらが標準)ではなく、ダビングモードに切り替えてさえいれば、
録音ボタンを押し込んでも再生側が再生ボタンを押し込まない限り待っていてくれる、セミオートタイプになっている所は評価
できるポイントであると思う。




◆細部について1:<上面ブロック>


●上面パネル周り。(全体的に)
  ずいぶんとシンプルなパネルになっとります。
  デフレ世代ですがそれなりに機能は揃っています。


●上面パネル周り。(左右分割)
  至って質素ですが「ただのラジカセ」ですから仕方ない所でしょう。
  ボタンやスイッチ類はできるだけ左右対称デザインを守っており、オーディオらしさが残っています。
  デフレ機種ながらもCD/ライン入力が生き残っている所はさすがはソニー、と言った所でしょうか。
  ライン入力端子の左側にはうっすらとですが何かしら端子の装備予定候補位置が見えていますが、今までのCFS
  シリーズではライン入力の隣りは必ずと言って良いほどミキシングマイク端子が装備されていましたから、恐らくマイク
  端子が入る予定候補地ではないでしょうか。(この機種では別の場所にマイク端子が移動しています)


●5バンド・グラフィック・イコライザー。
  この機種の場合、「ドデカゾーン+4バンドGEQ」と言われたい所でしょうが、このドデカゾーンは恐らく100Hz帯
  ではないでしょうか?それにしてもドデカゾーンだけ「黄色フェーダー」になってアピールしている所は粋ですね。
  ただの100Hzなんでしょうけど。




◆細部について2:<前面ブロック>



●正面パネル周辺。
  それなりにちゃんと「ドデカホーンらしさ」をアピールしてます。
  「CDは付いてないけどドデカホーンの一種だでよ〜」と訴えてるような感じです。
  
  ・・・「じゃあ、ドデカの一種という証拠見せて?」
  ・・・「えっ!?マジ!?」


●スピーカー周辺。
 <左画像>
  それなりに実力派っぽい8cmフルレンジ・ユニット。
  下部にはやや広口なバスダクトが付いてます。
  「廉価機種のおいらでも、やるときゃ重低音ぐらい出しまっせ〜」と主張しているようにも見えるスピーカーです。
  組み合わされたアンプがプアなために彼の願望は音を立てて崩れ落ちました。ちゃんちゃん。

 <右画像>
  やや広口なバスダクトを覗いてみる。
  スピーカー・ユニットの背面はしっかりボックス構造となっており、意外としっかりできています。
  推測ですが片側一発当たり200〜300ccぐらいの容積が確保されているんじゃないでしょうか?
  しかし、せっかくながらこのボックスもダクトもちゃんと計算された上でのサイズかどうかは疑問が残ります。
  たぶんやってない。



●カセット・デッキ下の「ある意味レア」なパネル群。
  ヘッドホン端子はもちろんのこと、オペレーション・インジケーターまで移設されてます。
  インジケーターの隣りには「デジタル・エコー」という、見慣れないつまみが付いてます。
  思わず「ウホッ!」と叫びたくなる(・・・ならへんならへん)、泣く子も黙る!?「カラオケポン」が装備されています。
  しかもこのカラオケポン、民生用カラオケ機では標準の「音声多重ソフト」にまで対応しているニクイ奴です。
  どうせ付けるならテープスピード(キー調整)機能も付けて欲しかった所ですが、突貫工事で作ったようなデフカセ
  なので、無理もないでしょう。
  んで、肝心のマイク端子はデフカセでは生意気な2系統を搭載し、それぞれ音量も調整可能となっております。
  いつでもどこでも簡易なカラオケが楽しめちゃう、ってことですね。
  お花見などに一台いかが?
  ライン入力からの音源もカラオケポンが効くのでiPodを接続する、って使い方もありですよ!


※諸事情によりカセットデッキ詳細は割愛させていただきます。(見る価値なし)




◆細部について3:<背面/その他ブロック>


●背面パネル周辺。
  いかにも「ソニー製品」といったような、極力フラット化に徹した背面部。
  放熱用の穴が電池ボックス周辺にしか開いていないのでやはりバスレフであるようだ。
  CFD-500/400と同じ理屈を実現していますね。


●コーションプレートと背面の端子など。
  ソニー製品なのでしっかり「ラジオ・カセット・コーダー」。
  「ラジオ・カセット・レコーダー」の「レ」を抜くことで商標化に成功してます。(うーん、セコすぎる!)
  生産はKの国でもCの国でもなく松下電器で言う所の「マレイシア製」です。
  かつて管理人が幼少時代に所有し活躍していたCFS-W301はKの国製、友人が持っていた次モデルの302は
  Tの国(バナナ)製、さらに次の304(303は見たことなし)に至ってはPの国(バナナ)製。
  バブル全盛の機種で基本デザインはそれぞれ一緒だったのにモデル変更の度にどんどん人件費が安そうな所で
  生産されていたのは謎です。一応グローバル化していたのでしょうか・・・?(NIES諸国に積極的だったのか?)

  定格消費電力は18w。
  電灯線(AC100v)の他、乾電池駆動の場合は単1乾電池×6本(DC9v)といった具合。




■主な特長:
<総合>
2チャンネル方式(8cmフルレンジ×2)、一応バスレフ
推定最大出力:5w前後
使用ユニットの種類:フツーの紙コーン、布エッジ
重低音回路:ドデカゾーン(100Hz)
トーン・コントロール:5バンド・グラフィック・イコライザー
(ドデカゾーン/100Hz、400Hz、1KHz、4KHz、10KHz)
ヘッドホン端子
マイク端子(2系統、音量つまみ独立)
デジタル・エコー
カラオケポン(音声多重/通常ソース)
AC100v(50/60Hz)または単1乾電池6本(DC9v)

<カセット・デッキ部>
マニュアルロジック駆動ワンウェイ
オートストップ機構
ノーマルテープ専用
キュー&レビュー(Aデッキのみ)
定速/倍速ダビング(セミオートタイプ・シンクロスタート)
リレー再生

<チューナー部>
マニュアルチューニング
AM/FM(ステレオ)、TV1-3






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